川柳文化祭誌上大会（平成23年）
 『勢揃い』 廣島 英一選 | ||
|---|---|---|
 | 雛壇にならんだのっぺらぼうの首 | 田中寿々夢 |
| 瓦礫はねのけて再起の海女の宿 | 米多吉吾郎 |
| えらのない顎がぶつかる永田町 | 渡辺 梢 |
| 宮出しに自称アナログ派の気勢 | 河合 成近 |
| 大安のよろこび猪口に盛り上がる | 柳 慶子 |
 | 数だけは居るが文殊の知恵がない | 木崎 栄昇 |
 | 談合の首を揃えて計算機 | 大野 征子 |
 | 襲名へ賑賑しくも畏まり | 小金沢綏子 |
| 『爽快』 久保田半蔵門選 | ||
|---|---|---|
| 横綱に勝って花道胸を張り | 生井澤 昇 |
| 一行でアキレス腱を突くコラム | 秋山 茂子 |
| 妻が留守家中風が吹き抜ける | 原 光生 |
| 正面の富士に打ち込むティーショット | 丸山 不染 |
| 五時からのビール仮面が溶けてゆく | 守屋不二夫 |
| 満天の星ひとりじめする露天風呂 | 鈴木千代見 |
| 泥んこのラガー抱き合うノーサイド | 井上京一郎 |
| ひとっ風呂浴びて生成りの俺になる | 安藤 波瑠 |
| 『タイミング』 安藤 紀楽選 | ||
|---|---|---|
| 転職の潮時だった肩叩き | 丸山 不染 |
| 円高へ予て予定のパスポート | 内田 甲柳 |
| 一拍をおいて教えるいい知らせ | 井上京一郎 |
| プロポーズ熟した愛をそっともぐ | 阿部 勲 |
| 正論が脱原発の風を読む | 飯田サイコ |
| ルンバからワルツ伝えるなら今だ | 刑部 鬼子 |
| 本心が見えたところで切る手形 | 落合 正子 |
| 出張に合わせた様に妻の旅 | 仲谷 時子 |
| 『地図』 花井ようこ選 | ||
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| 無垢の地図握って呱呱のプロローグ | 三浦 武也 |
| 人生は白地図だからおもしろい | 中田 尚 |
| 子等が描く戦はしない世界地図 | 楠根はるえ |
| 未来地図宇宙へ続く道も入れ | 比気 よね |
| 子に渡す地図に矢印など引かぬ | 荒巻 睦 |
| 迷わぬと決めた明日の地図を持ち | 柳 慶子 |
| 国境の海図へ不発弾抱え | 及川竜太郎 |
| 腕白の未来図にある金字塔 | 小金沢綏子 |
| 『積む』 佐藤 孔亮選 | ||
|---|---|---|
| 欲に欲重ね地球に叱られる | 岡部 美雄 |
| 語り部の一語一語の原爆忌 | 田中寿々夢 |
| 公約を積みすぎていて動けない | 五十嵐 修 |
| 経験を積ませた腕が干からびる | 天野 弘士 |
| 舞台今佳境へ積もる紙の雪 | 西潟賢一郎 |
| 積み木積み直して視野を変えてみる | 坂野 照明 |
| 口角の泡をブログが積み上げる | 阿部 勲 |
| 覇者になる日まで綺麗な嘘を積む | 上村 脩 |
| 『展望』 堀江 加代選 | ||
|---|---|---|
| 行き止まり十円玉を投げてみる | 小林 洋子 |
| 川の字が決壊冬が近くなる | 原 光生 |
| 内定を得て未来への霧が晴れ | 宮内みの里 |
| 広角の眼鏡に替えるまあだ古希 | 岡部 美雄 |
| 子の未来見据えて夢の種を蒔く | 中西 隆雄 |
| 稲ワラが占う原発の未来 | 安藤 波瑠 |
| 本音で生きて真実が見えてくる | 坂野 照明 |
| 凡人の視野でくったくなく生きる | 府金 節子 |
| 『童話』 近江あきら選 | ||
|---|---|---|
| 瓦礫からきっと芽生えてくる童話 | 田中寿々夢 |
| 子育て記汗と涙で書く童話 | 森吉留里恵 |
| 虹つかむ童話へ弾む乳母車 | 西潟賢一郎 |
| 人生は書き直せない童話かも | 小倉 利江 |
| 靴でしか覚えていなの王子様 | 長瀬 熙実 |
| 母の胸桃の流れる川がある | 楠根はるえ |
| 大津波座敷童も虚を衝かれ | 及川竜太郎 |
| ネットにはお伽噺の店がある | 國嶋 武 |
