川柳人協会

可有忌(平成25年5月)
『五分五分』   生井澤 昇選
引き分けの勝負に双子の母安堵大野 征子
水のように引き分けのまま添い遂げる浅見 心象
迷い道天秤棒が動かない香取さくら
伯仲で敵の手の内読み切れず廣島 英一
極論を足して二で割る妥協案平蔵  柊
双方の名で合併をする社名大戸 和興
和して同せず日の丸の白と赤願法みつる
対局の互角は部屋も押し黙り中島 和子

『立派』   宮内 みの里選
野暮用に捨て身で当たるノンキャリア長谷川路水
札束に頭は下げぬ馬の骨西潟賢一郎
堂々と青い主張を押し通すいしがみ鉄
神の手と言われ誇れる名外科医國嶋  武
コツコツとくずれぬ積み木積み上げる國嶋  武
匿名でそっと貧者の火をともす廣島 英一
息切れは知らぬ社長の菜っ葉服廣島 英一
復興へ未来地図画く若い志士小倉 利江

『消す』   木崎 栄昇選
砂に書く相合傘も波に消え權守いくを
錆止めを塗り老醜に蓋をする荻原美和子
返信へ糸のたるみを消しておく井上 東風
離婚印絆の切れる音がする大野 征子
灯を消せば武者人形が喋りだす和泉あかり
プライドは捨てたケアハウスの蛇口佐藤 幸子
残照の海に未完の絵が沈む篠崎 紀子
半眼で雑念を消す結跏趺坐上村  脩

『紙』   平蔵 柊選
五線紙に盛るメロディーが歯切れよい荻原美和子
百選の水の命を掬う和紙上村  脩
春光の障子に眠り誘われる村田 倫也
公印で横柄な紙にと替わる小山しげ幸
発想が白紙の上を歩き出す堀井  勉
たかが紙されど紙幣という重さ大野 征子
紙の花飾る倦怠期を飾る西潟賢一郎
薄紙を剥がす介護へ愛を積む永井 静佳

『許す』   篠崎 紀子選
永々の無音飲み込む義理と愛願法みつる
人間を許すと風がやわらかい米島 暁子
すきま風なれど承知の胸開く願法みつる
粉飾の許容範囲を模索する廣島 英一
闇汁の具材笑って認め合い中島 和子
懺悔して平伏の頬泪這う大野 征子
コンパスの回る範囲で遊ばせる新井千恵子
Uターン捨てた故郷の灯に折れる西潟賢一郎

協会秀句

令和6年の秀句


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