可有忌(平成20年5月)
『あっさり』 近江 あきら選 | ||
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もめ事もなくザル法は可決され | 馬目さだお | |
退屈をしている順に切り捨てる | 佐藤 幸子 | |
花道にのると優しい鬼になる | 西潟賢一郎 | |
風止んでさっぱり過去を捨てて立つ | 潮田 春雄 | |
反抗期想定外のバーを越え | 國嶋 武 | |
黒幕のドンが見限る使い捨て | 中島 和子 | |
身に覚えあって音符の並べ替え | 和泉あかり | |
策謀の蜥蜴シッポを振り捨てる | 門馬 えみ |
『裏』 いしがみ 鉄選 | ||
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台所から覗く日本がキナ臭い | 加藤 品子 | |
日光月光裏も光っている菩薩 | 津田 暹 | |
見る角度変えて正義の裏を読む | 荻原美和子 | |
栄光の裏に涙も重ねた日 | 近江あきら | |
逆風に耐えた昭和の足の裏 | 小倉 利江 | |
B面の苦労は言わぬトップの座 | 齊藤由紀子 | |
ピカソの絵裏にまします超美人 | 河合 成近 | |
葉桜の裏で失恋記を綴る | 相良 博鳳 |
『軽い』 岩瀬 恵子選 | ||
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軽薄な男の舌が良く滑る | 花道 歌子 | |
プライドを軽くカリスマもてあそび | 竹田 光柳 | |
人望の軽い男が吠えたがり | 竹田 光柳 | |
虚を衝けばたじろぐ軽い倫理観 | 荻原美和子 | |
しがらみがとれれば軽いハイヒール | 榊原 南山 | |
父の座が風に揺れてる定年後 | 安藤 波瑠 | |
背伸びして掴んだ運は軽かった | 佐藤 幸子 | |
三本判気楽なかおを持っている | 中島 和子 |
『元気』 相良 博鳳選 | ||
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百薬の長に寿命を支えられ | 中島 和子 | |
弟子にまだ歳は見せない舞扇 | 田中八洲志 | |
後期高齢人間を捨ててない | 齊藤由紀子 | |
逆風の日にも耐え抜く足がある | 近江あきら | |
空を切るパンチ無敵をほめそやし | 川崎 達海 | |
北風に男の彫りが深くなる | 小林 良恵 | |
火祭りへ若い臓器が破裂する | 潮田 春雄 | |
何食わぬ顔で生きてる外来種 | 中島 和子 |
『色』 中島 和子選 | ||
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保護色という色をきる処世術 | 井上 東風 | |
色の無い手綱に老後縛られる | 成田 孤舟 | |
万色を極めて黒は動じない | 長野建八郎 | |
色っぽい女の道は舗装され | 安藤 波瑠 | |
原色を着るもう妥協などしない | 島田 駱舟 | |
純白はないアダルトな絵の具皿 | 阿部 勲 | |
少年に白い逃げ場を用意する | 久保田見乗 | |
ふるさとの色になるまで米を研ぐ | 西潟賢一郎 |