川柳人協会

川柳文化祭誌上大会(平成25年)
『吹く』   平井 翔子選
修験者の法螺に真の音がする權守いくを
追い風が冒険しろとけしかける荻原美和子
青春のラッパはどこまでも響く松山 芳生
信念がじっと耐えてる向かい風宮内みの里
残り火に息吹きかけたのがあなた河原野折杭
結論が出ないやかんが笛を吹く上村 健司
いい風が来たぞ勝負の帆を上げろ井上京一郎
団欒を食べるふうふう吹きながら小倉 利江

『ペン』   雫石 隆子選
ペンという友へ孤独を恐れない安藤 紀楽
ペンだこに昭和の歴史秘めている久郷せつ子
本命がたじろいでいるペンネーム佐藤 紀子
銃よりもペンの威力を子に教え竹田 光柳
すぐ吼えるペンで貧乏ばかりする齊藤由紀子
ペン胼胝を食べてしまったIT化長野健八郎
月明かりペンを詩人にしてくれる伊藤 我流
一本のペンの先から夜が明ける加藤ゆみ子

『星』   岩田 明美選
星に愚痴吐いて夜勤の重い足上村 健司
銀幕のスターに後光射した日々懽守いくを
星空を見上げて優しくなる拳佐藤  明
流れ星ウツをはぎとる一行詩布施 ちえ
苦労した過去の涙は星になり新澤 きよ
ミシュランの星には負けぬにぎり飯齊藤由紀子
満天の星に心を持ってかれ田島 世四
目から星飛んだ親父のあの拳固河原野折杭

『廻る』   上村  脩選
賛成に廻ると鳩が取り囲む佐藤  明
輪廻転生人間戯画を描き続け小倉 利江
甘い水追い軸足がよくまわる大野 征子
地球儀がクルクル戦火途切れない瀧  正治
人間を振り落としたい地動説二宮 茂男
よく回る舌が人格削り取る竹田 光柳
光陰の早さに焦る余命表木崎 栄昇
秒針が刻む歴史の裏おもて西潟賢一郎

『耳』   廣島 英一選
言い訳の嘘に耳鳴りエコーする荻原美和子
独裁の耳がバンザイだけ拾う齊藤由紀子
折れた子へ心の耳を傾ける大野 征子
掃除機の音におびえる雑魚に耳原  光生
耳朶が嘘をつけないリトマス紙川名 信政
ライバルの刺激を耳に飼っている潮田 春雄
気骨ある反論耳を正座させ小倉 利江
花道の耳喝采に酔っている西潟賢一郎

『無理』   岡部 美雄選
嫁の来ぬ農家を継いでとは言えぬ阿部 文彦
NとSそっぽを向いて出る家裁井上京一郎
死ぬ時も一緒ですよと妻が言う黒木せつよ
家計簿が首を振らない三人目宮内みの里
こんにゃくに骨が欲しいと串に恋篠崎 紀子
妻を消すにはマジシャンも首を振る西潟賢一郎
せっかちを諭されている自動ドア北山 蕗子
往復の切符下さいエンマ様大野 征子

『目立つ』   小金沢綏子選
日本の誇り秀峰富士の山宮澤 古登
花嫁へやるシャンパンは音で抜き西潟賢一郎
花びらの裏も表も高齢化伊藤 我流
為政者の奢り失言目に余り秋山 茂子
赤いバラ改憲論へ向いて咲く山田こいし
出る杭は打たれ上手で伸びていく和田  稔
振り袖の魅力に人が寄ってくる田中寿々夢
ベテランを総嘗めにしたノーマーク堀江 加代

協会秀句

令和6年の秀句


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