川柳忌(令和2年9月)
『合同』 江畑 哲男 選 | ||
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君が居てくれて私の今がある | 宮本彩太郎 | |
同窓会一貫校が馴染まない | 洲戸行々子 | |
合同に見知らぬ美女が罷り出る | 柿添 花子 | |
一党二制度めいて野党の数合わせ | 河合 成近 | |
合同の墓でお袋眠れるか | いとうみきお | |
合鍵を持ち合う仲にやっとなる | 宮下 勲 | |
民主党足して割っても民主党 | 佐藤 孔亮 | |
産学協同ハイテクが磨かれる | 上村 脩 |
『量』 渋川 渓舟 選 | ||
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酒少しだけでほろ酔いするわたし | 柳 るみ子 | |
交渉の相手を量る軽いジャブ | 加藤 佳子 | |
不器用な系譜愚直な汗を積む | 前島 滋朗 | |
決断の時に度量が試される | 林 俊雄 | |
悲しみを受け止めきれぬ雨量計 | 真島久美子 | |
手の平に載せるくらいの幸がいい | 石川二三男 | |
足し算に引き算混ぜる子の躾け | 今村 龍助 | |
極楽を浮遊している二合半 | 伊藤 我流 |
『研究』 竹田 光柳 選 | ||
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町工場ロケット浮かす奇策練る | 願法みのる | |
ワクチンの治験へ成果待ち焦がれ | 上野さざ音 | |
デジタル化歴史の謎を解き明かす | 上村 脩 | |
ワクチンに行き着くまでの遠い道 | 佐道 正 | |
ゆるぎない心が明日をこじ開ける | 今村 龍助 | |
ワクチンの成功を待つ世界の眼 | 山本 晋也 | |
コロナ禍に成果待たれる予防薬 | 瀬戸れい子 | |
科学の日神の摂理を覗き込む | 南川 哲夫 |
『担ぐ』 大野 征子 選 | ||
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えっさほいさ担ぐ派閥の下心 | いしがみ鉄 | |
担がれた天狗の鼻が反り返る | 上村 脩 | |
弁天の縁起担いで銭洗う | 宮下 勲 | |
担い手は輸入に頼る介護職 | 三上 武彦 | |
縁起いいヒゲを勝利者まだ剃らず | 西潟賢一郎 | |
無派閥を派閥の力学が担ぐ | 大竹 洋 | |
ほめ殺しシャッポは軽い方がいい | 江畑 哲男 | |
烏啼き出足鈍らす験担ぎ | 和泉あかり |
『結う』 福井 勲 選 | ||
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被災地と心を繋ぐボランティア | 上田 健太 | |
番付けの速さを髷が追いかける | 大竹 洋 | |
菅笠をしかと結わえて組む派閥 | 五十嵐淳隆 | |
コロナ世代同期を何で縛ろうか | 江畑 哲男 | |
愛憎を綯って夫婦という絆 | 渋川 渓舟 | |
癌癒えて黒髪もどり手には櫛 | 栃原 輝昭 | |
徘徊の父を涙で結えつけ | 三上 武彦 | |
一言の咀嚼へ忖度が動く | 國嶋 武 |