川柳文化祭1部(平成23年11月)
『大胆』 西潟賢一郎選 | ||
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自己チューガネットで煽るクーデター | 國嶋 武 | |
花道を張り子の虎に乗ってくる | 大野 征子 | |
大げさに生きて人間らしくなる | 米島 暁子 | |
原色の街闊歩するノーメーク | 篠崎 紀子 | |
独裁の終焉呼びかける狼煙 | 篠田 東星 | |
善人とエンマの前で言ってのけ | 岡部 美雄 | |
秋深し少し淫らでいい塒 | 佐藤 幸子 | |
辞表手に立って天下を俯瞰する | 篠田 東星 |
『チャンス』 佐藤 美文選 | ||
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今日佳き日皆に等しくあるチャンス | 石川 雅子 | |
キャンパスが待つ紅葉の真っ盛り | 久郷せつ子 | |
薬玉が弾けチャンスが舞い降りる | 北山 蕗子 | |
泰然として釣竿がチャンス待つ | 竹田 圭子 | |
ライバルの呼吸を計る勝負どこ | 篠田 東星 | |
最後には笑う点取り虫に賭け | 木崎 栄昇 | |
行く先も聞かずカボチャの馬車に乗り | 河合 成近 | |
人肌の燗へ機会を狙ってる | 長尾 美和 |
『月』 小金沢綏子選 | ||
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朧月女は肩を寄せたがる | 篠田 東星 | |
太陽はあなた生涯月満ちる | 國嶋 武 | |
名月の昨日の嘘が悔やまれる | 廣島 英一 | |
満月の完璧過ぎる孤独感 | 秋山 茂子 | |
月だって平和な世界照らしたい | 富岡 桂子 | |
月に吼え月に哭いてる挑戦者 | 野口 節子 | |
月欠けて満ちてゆっくり喪が明ける | 秋山 茂子 | |
鎮魂の海へ満月の慈愛 | 竹田 光柳 |
『抵抗』 齊藤由紀子選 | ||
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親の敷くレール逆走したくなる | 阿部 勲 | |
抵抗もここまでアメが溶けてくる | 和泉あかり | |
独裁にネット社会が立ち上がる | 山本八千代 | |
校則を蹴り上げている鼻ピアス | 北山 蕗子 | |
引力がプチ整形を嘲笑う | 洲戸行々子 | |
風評に負けぬ大地を掴む足 | 岡部 美雄 | |
反骨の蟻正論を譲れない | 宮内みの里 | |
文庫本タッチパネルのページ蹴る | 渡辺 梢 |
『盗る』 金子美知子選 | ||
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盗れそうで盗れぬ師匠の芸の味 | 廣島 英一 | |
盗み書きした答案の誤字脱字 | 刑部 鬼子 | |
しあわせを盗られた海とまた生きる | 宮内みの里 | |
盗った事よりどじ悔いる塀の中 | 岡部 美雄 | |
都市砂漠花盗人も居なくなり | 緒方 格子 | |
柿たわわ盗る人いない過疎の村 | 古田 美雄 | |
さっと風笑顔盗んでそれっきり | 中島 かよ | |
平成の鼠小僧を待っている | 川崎 信彰 |
『波』 植木 利衛選 | ||
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円高を逆手にとって波に乗る | 葭田 忠正 | |
ウエーブで祝う逆転ホームラン | 小倉 利江 | |
荒波に揉まれひと皮むけてくる | 佐藤 頼昭 | |
安らぎの首が湯船の波に浮く | 近江あきら | |
有頂天天狗が波にのって来る | 亀井 哲 | |
ハイテクの波に溺れるメカ音痴 | 広田 悦子 | |
ホコ天のアキバが戻る人の波 | 中島 和子 | |
戦争の道へ続いた旗の波 | 堀井 勉 |
『人形』 竹本瓢太郎選 | ||
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ピノキオの鼻は人間へのジョーク | 三浦 憩 | |
人形にされてたまるか成果主義 | 小金沢綏子 | |
名人の指人形に喜怒がある | 金子美知子 | |
背信の夜を人形の目に射られ | 篠田 東星 | |
怨念を藁人形に叩き込む | 秋山 茂子 | |
肩書きを付けると木偶が踊り出す | 阿部 勲 | |
愛憎へ藁人形を弄ぶ | 上村 脩 | |
朝が来るマリオネットが背広着る | 近江あきら |
『塗る』 上村 脩選 | ||
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保護色を塗って乱世を生き延びる | 五十嵐 修 | |
塗り潰す過去を冷たい風が剥ぐ | 渋川 渓舟 | |
白地図に野心をそっと塗っておく | 北山 蕗子 | |
塗り込めた恥に修正液がない | 村田 倫也 | |
厚化粧やっと女になって来る | 不 呼 名 | |
母の日の母クレヨンに正される | 太田紀伊子 | |
嘘一つ隠した嘘を塗り潰す | 洲戸行々子 | |
人は嘘つき白く塗り黒く塗り | 安藤 波瑠 |