花久忌(平成20年5月)
『矢張り』 西潟 賢一郎選 | ||
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虎の子が利息に惹かれ行ったきり | 岩瀬 恵子 | |
絵に描いた餅で終わった飾り棚 | 潮田 春雄 | |
合併へゾウキン掛けを買って出る | 和泉あかり | |
騙し絵の裏に議員の主義主張 | 大野 征子 | |
灰汁のない話で終わる紙コップ | 齊藤由紀子 | |
玉の輿針の筵が待ち受ける | 亀井 哲 | |
辻褄を合わせて座る貴賓席 | 相良 博鳳 | |
札束に乗り御機嫌な鬼になる | 篠崎 紀子 |
『癖』 米島 暁子選 | ||
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ラブレター下手な癖字も愛おしい | 小金沢綏子 | |
お互いの癖には触れぬ夫婦箸 | 岡部 定雄 | |
ロボットの癖も見抜けるプロの自負 | 竹田 光柳 | |
人間の癖をロボット真似ている | 相良 博鳳 | |
胸を張る癖がなんでも任される | 渡辺 梢 | |
七癖も愛して妻の半世紀 | 竹内 祝子 | |
並び癖長蛇の列にいる安堵 | 和泉あかり | |
勝ってても負けても化粧する女 | 榊原 南山 |
『負ける』 安藤 紀楽選 | ||
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風に舞う馬券に欲を嗤われる | 齊藤由紀子 | |
負けた日の影は特別長くなる | 潮田 春雄 | |
日の丸に負け癖がある大相撲 | 阿部 勲 | |
始めから負けてケンカを避けている | 黒崎 和夫 | |
猛将の涙花粉に負けている | 河合 成近 | |
投了図無念の文字が浮いている | 亀井 哲 | |
スランプに負けると風邪をひきやすい | 西潟賢一郎 | |
言い負けて今日一日は独り者 | 古田 美雄 |
『熱い』 小金沢 綏子選 | ||
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正論を握る拳が熱くなる | 西潟賢一郎 | |
実直な父で瞬間湯沸かし器 | 相良 敬泉 | |
熱望をされても嫌なものはイヤ | 丸山しげる | |
国会へガソリン税が火をつける | 阿部 勲 | |
諍いをメディアが熱く書き立てる | 黒崎 和夫 | |
内部告発人間の血が滾る | 齊藤由紀子 | |
熱血に触れて少年A脱皮 | 河合 成近 | |
救出へ涙は熱いものとなる | 安藤 紀楽 |
『混む』 島田 駱舟選 | ||
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警官も来て留置所に空きがない | 阿部 勲 | |
行列は覚悟旨いものは旨い | 中島 一甫 | |
高速は便秘光りが流れない | 齊藤由紀子 | |
ミシュランが来なくたってもうちは混む | 山本 桂馬 | |
こみ入った事情は知らず行くメロン | 野口 節子 | |
混んでいる病院にある安堵感 | 伊藤三十六 | |
そうでない人で混んでる美人の湯 | 中島 宏孝 | |
刑務所が大渋滞の中にある | 亀井 哲 |