川柳人協会

川柳文化祭1部(令和6年11月)
『行方』上村  脩選
欲望の海で人間取り戻す小林 洋子
バーチャルの中で行き先見極める平蔵  柊
嘘に嘘積まれ本心判らない金城風見子
落し蓋の下に隠してある野心相原あやめ
胸に棲む一直線の鬼がいる新井千恵子
蓑虫の風に任せた子の行方森 沙恵子
自叙伝の末尾年譜の誇らしげ大野 征子
愛憎の渦も月日が凪にする近藤 君江

『呼ぶ』芦田 鈴美選
別姓になってもやはりマスオさん五月女曉星
いらっしゃいませと白川郷の屋根安藤 紀楽
呼び水となった味みの吟醸酒相良 博鳳
駅蕎麦が素通りさせぬすきっ腹矢嶋もと之
スーパーの特売主婦を走らせる齊藤由紀子
投書欄から草の根が立ち上がる府金 節子
肩書で呼ぶエリートに顔がない竹田 光柳
一杯の酒がはしごを架けにくる大竹  洋

『ランク』栃原 輝昭選
格付けの米へ農家の泣き笑い白子しげる
百年を経て盆栽は格を上げ上田 健太
偏差値が導く先の没個性宇田川恵美子
旭日を付け勲章の格を上げ安藤 紀楽.
AIに年功序列などはない岩田 康子
胡蝶蘭並んだ順に意味がある桑山桑の実
雑魚と雑魚格差の下にある絆大野 征子
円卓の椅子にも暗黙の序列平蔵  柊

『力む』島田 駱舟選
お互いに力んで押した離婚印江崎 紫峰
バーベルを閻魔の顔で持ち上げる上村 健司
口角の泡と開いた鼻の穴上村 健司
ああ言えばこう言う負けん気の鶏冠齊藤由紀子
歯ぎしりを冷かしている心太相原あやめ
故郷に触れたジョークが許せない佐藤 孔亮
そう力みなさんな一票は軽い江畑 哲男
人生をホップステップ肉離れ高橋 千馬

『ルーム』加藤 ゆみ子選 
お喋りが待合室に来た不運五十嵐淳隆
一生を一部屋で足る蝸牛岩田 康子
通されたVIPルームで石になる高橋 千馬
テレワーク隣の部屋へご出勤増田 幸一
独房の写経が人を造り変え福井  勲
密室のトリックを知るルームキー大矢 和子
十万のフォロワーを持つ引きこもり佐藤 孔亮
ルームランプ消せば流星群の中落合 正子

『例外』山口 早苗選 
永田町税のかからぬ金もある齊藤由紀子
イエスマン中に一匹鬼オコゼ小池 主計 
モンゴルで使えなかった逮捕状五月女暁星
九条は宝世界にどこもない安藤 紀楽
例外をスープに入れて飲みました橋本 湧水
戦争と平和聖域無視される新井千恵子
友引に葬式急かす温暖化上田 健太
身を以って平和を叫ぶ被爆国岩田 康子

『露出』いしがみ 鉄選
サンバに乗ってヘソのピアスが踊り出す白鳥 象堂
諸肌を脱いだ白洲に舞う桜水野 俊徳
タワービルガラスの中にある宇宙近藤 君江
着飾ったラッピングから欺瞞見え新井千恵子
船乗りポパイの上腕二頭筋高橋  充
剝き出しの意地包み込む理想論相良 敬泉
オブラート無しの言葉が耳に沁み金城風見子
野晒しにされた地蔵を抱いてやる相良 博鳳

『輪』中島 和子選
酌み交わす輪があり余生楽しまん江畑 哲男
輪っかしか出来ぬ万博急かされる五十嵐淳隆
反核の輪に入れない被爆国桑山桑の実
人材の価値が花輪の数で浮き竹田 光柳
派閥の輪抜けると首がうそ寒い三上 武彦
輪の中の誰かが耐えて輪を保ち渋川 渓舟
円陣を組むと膨らむ手の温み田島 悦子
糠床と金の指輪が戦する上田 健太

協会秀句

令和7年の秀句


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