川柳忌(平成29年9月)
『口実』 上田 健太選 | ||
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弾除けにした一線がもつれだし | 大竹 洋 | |
米朝の口実地球儀を泣かせ | 小倉 利江 | |
喉元に小骨が刺さるい世迷言 | 廣島 英一 | |
秋雨が続いて写楽笑わない | 前中 知栄 | |
家系図へ喪章をつけるズル休み | 大竹 洋 | |
前向きと言う偽善者の二枚舌 | 西潟賢一郎 | |
虐待を躾と同じ皿に乗せ | 和泉あかり | |
言い訳にする台風に逃げられる | 佐藤 孔亮 |
『頑固』 清水香代子選 | ||
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偏屈のDNAが芽吹く月 | 尾藤 一泉 | |
独り居に頑固の種がよく育ち | 小田 春菜 | |
王様がけっして裸を認めない | 永井 静佳 | |
血の濃さを知る雑草とわたくしと | 真島久美子 | |
床の間の化石論語の息を吐き | 大竹 洋 | |
頭が全て蝶よ蜂よ甘いよ | 青田 三柳 | |
妻の掌に乗せて頑固を弄ぶ | 上村 脩 | |
頑固でもいい母性とは女とは | 真島久美子 |
『辣腕』 瀬戸 一石選 | ||
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敏腕な刑事が裁く難事件 | 井上 東風 | |
兄弟の波乱鎮める母の腕 | 上野さざ音 | |
五輪背に都知事切り込む永田町 | 小林 洋子 | |
一徹を天職とする金庫番 | 中島 和子 | |
打つ手みな当たって運も味方する | 木崎 栄昇 | |
大物に付く弁護士の稼ぎ髙 | 中島 和子 | |
辣腕が時流に乗って財を成し | 堀井 勉 | |
カリスマへシャッター街が立ち直る | 上村 脩 |
『しびれる』 小田 春菜選 | ||
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観劇の余韻で綴る日記帳 | 内田 博柳 | |
うっちゃりの腰が生きてた土俵際 | 佐藤 孔亮 | |
抑え役無死満塁を黙らせる | 佐藤 孔亮 | |
核心を抉る啖呵が小気味良い | 上村 脩 | |
曲に酔い童話の中に立ちつくす | 井上 東風 | |
愛という一文字いつも憧れる | 木崎 栄昇 | |
お言葉の陛下に被災者の随喜 | 宮内みの里 | |
花嫁に麻酔をかける金屏風 | 西潟賢一郎 |
『やれやれ』 米島 暁子選 | ||
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単身が終わり我が家の温い風 | 大野 征子 | |
肩の荷を初月給に降ろされる | 守屋不二夫 | |
鈍感が最高長生きの秘訣 | 中島 和子 | |
どしゃ降りに飲み屋の椅子が空いてない | 廣島 英一 | |
解凍のサンマで間に合わす目黒 | 津田 暹 | |
耐えて来た父の背骨の荷を下ろす | 駒木 香苑 | |
綿帽子ぬぐと自分の顔になる | 西潟賢一郎 | |
稲刈りが済むとカカシも横になる | 西潟賢一郎 |