川柳文化祭誌上大会(令和4年11月)
『植える』 宮本 彩太郎選 | ||
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マジシャンの指にははてなが植えてある | 芦田 鈴美 | |
坪庭にせめての四季を植えつける | 丸山 孔平 | |
木を植える森になれよと声かけて | 佐瀬 貴子 | |
止まり木となる木を植えて君を待つ | もりともみち | |
子の夢へ大きな鉢に植え替える | 小暮 風六 | |
木を植える地球を泣かせないために | 河合 成近 | |
百年の計へこころの木を植える | 山口 亮栄 | |
天をつく大樹になれと鍬を入れ | 井上京一郎 |
『得る』 木俣 邦捷選 | ||
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転ぶたび骨太になる人生譜 | 大川 光一 | |
痛い目に遭って掴んだ処世術 | 白子しげる | |
嫁姑百歩譲って得る一利 | 塩澤 きよ | |
得るために何かを捨てる生きる術 | 島村 呆眼 | |
修羅幾度やっと風得てダイヤ婚 | 南川 哲夫 | |
生き甲斐の余生掴んだ趣味ひとつ | 藤井 杏樹 | |
百点が帰りの靴を軽くさせ | 小暮 風六 | |
三代を越えて子がいる孫がいる | 樫村 日華 |
『祈る』 原名 幸雄選 | ||
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屈折を抱いた女がいる苦界 | 北出 北朗 | |
たとう紙へ母の温味を折り畳む | 上村 脩 | |
中折りも谷折りもある人生譜 | 谷藤美智子 | |
ひざを折り子の言い分と真正面 | 倉片みどり | |
挫折する度にひこばえ期待され | 竹田 光柳 | |
しがらみをへし折り俺の第二章 | 小林 洋子 | |
折る腰の角度に見える礼と詫び | 木俣 邦捷 | |
膝を折り優しく悟す思いやり | 森崎八重子 |
『顔』 青木 土筆坊選 | ||
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マニュアルを超えた笑顔が頼もしい | 上田 健太 | |
自画像に苦労の皺が描ききれぬ | 秋山 了三 | |
静止画の顔に本音が出ています | 藤村 蓉子 | |
戦前と戦後で昭和違う顔 | 三浦 友久 | |
忖度にまみれた君に顔がない | 栃原 輝昭 | |
笑顔には平和の神が宿ってる | 島尻 卓 | |
また明日があるから笑顔絶やさない | 樫村 日華 | |
笑顔からこぼれた愛で救われる | 蔀 帆子 |
『器量』 黒崎 和夫選 | ||
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鬼鰧器量と味は反比例 | 西 史紀 | |
大損へそれも投資というダルマ | 大竹 洋 | |
誰にでも優しくなれる苦労人 | 石井 和子 | |
胸を張り閻魔弥勒と渡り合う | 五十嵐幸夢 | |
太っ腹敵を味方にしてしまう | 上村 健司 | |
人間を見た目で量る人の業 | 伊藤三十六 | |
惜しまれて去る定年の人間味 | 峯岸 照海 | |
生前の徳で途切れぬ通夜の列 | 竹田 光柳 |
『配る』 田中 寿々夢選 | ||
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宅配と組む独り居の衣食住 | 岡 さくら | |
給付金あれやこれやと選挙前 | 大川 光一 | |
置き配に慣れてコロナの世を生きる | 安藤 紀楽 | |
復興へ善意を配るボランティア | 上村 脩 | |
グチ話銘々皿へ取り分ける | 大竹 洋 | |
不況風笑い袋は届かない | 大野 征子 | |
配られた粗品が負っている打算 | 宮本 海風 | |
候補者が配るコピーの青い鳥 | 河合 成近 |
『劇』 中西 隆雄選 | ||
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我れ主役わが人生の我が舞台 | 浜井 尚子 | |
脚本のない劇が折りなす夫婦椀 | 谷藤美智子 | |
裏方で通す人生悔いがない | 茂呂 美津 | |
惨劇を見るたび願う世の平和 | 渡邊 妥夫 | |
ペーソスも織り交ぜ深みある喜劇 | 中島 通夫 | |
人生のドラマも熟す四コマ目 | 小菅 八柳 | |
人生は喜劇悲劇の繰り返し | 林 俊雄 | |
まだ翔べる逆転劇に賭けてみる | 白子しげる |