可有忌(平成28年5月)
『豪華』 渋川 渓舟選 | ||
---|---|---|
襲名の披露梨園の勢揃い | 篠田 東星 | |
上総掘り砂漠で風呂に入れそう | 福井 勲 | |
横綱に立つご祝儀に幟旗 | 小倉 利江 | |
晩餐会プレタポルテが覇を競う | 宮内みの里 | |
特等は宇宙旅行と予約とり | 竹田 光柳 | |
ミシュランが星なら母の味は月 | 權守いくを | |
国宝が脇を固める初舞台 | 原 光生 | |
美食会月を詩にして蟹と酒 | 石川 雅子 |
『リリーフ』 小倉 利江選 | ||
---|---|---|
瀬戸際の命ドナーが拾い上げ | 守屋不二夫 | |
遭難の無茶へ天使のヘリが飛び | 荻原美和子 | |
リリーフが尽きてロボット欲しくなる | 大野 征子 | |
救援へiPSはまだベンチ | 原 光生 | |
被災地へ両手両足さしのべる | 國嶋 武 | |
代理から表彰受けている代理 | 篠田 東星 | |
リリーフはだぁーれもいない老介護 | 原 光生 | |
究極のリリーフ役は諭吉様 | 大矢 敦 |
『堅実』 江崎 紫峰選 | ||
---|---|---|
妻以外触れた事ない不粋な手 | 權守いくを | |
借金も手形も知らぬ古時計 | 大竹 洋 | |
五円だけ安い玉子へ遠回り | 佐藤 孔亮 | |
スカウトの目線大器をゲットする | 木崎 栄昇 | |
冤罪の阻止へ証拠となる可視化 | 宮内みの里 | |
頂点へ亀の歩幅で這い上がる | 上村 脩 | |
乗り換えはせぬガラケーで良しとする | 三上 武彦 | |
全力で褒めて叱った強い母 | 石川 雅子 |
『紙』 佐藤 孔亮選 | ||
---|---|---|
もみ消しへ満腹となるシュレッダー | 原 光生 | |
結納の墨が匂ってくる奉書 | 西潟賢一郎 | |
物納の紙裏門に貼りつける | 大竹 洋 | |
たとう紙の母の季節が畳まれる | 渋川 渓舟 | |
立ち上がる者に優しい紙コップ | 加藤ゆみ子 | |
捨て印を押すと白紙は喋り出す | 井上 東風 | |
再生紙どこかでお会いしましたか | 福井 勲 | |
一枚の紙が他人にしてくれる | 亀井 哲 |
『由緒』 田中 八洲志選 | ||
---|---|---|
由緒書なるほど牛に見える石 | 佐藤 孔亮 | |
亡びなきドラマ七堂伽藍の美 | 廣島 英一 | |
古文書を解いて系図を陽に当てる | 荻原美和子 | |
過去帳に貰う先祖の息遣い | 守屋不二夫 | |
市松の藍も息衝くエンブレム | 石川 雅子 | |
マスコミを嫌う古刹が動じない | 中島 和子 | |
格式の屋号梨園を光らせる | 上村 脩 | |
謎解けぬ卑弥呼伝説褪せたまま | 大野 征子 |