川柳人協会

花久忌(令和5年2月)
『遠い』   荻原 美和子選
浄化までまだまだ遠い汚染水駒木 香苑.
増え過ぎた国債返す日は遠い草場  昭
群衆の心理孤論を遠ざける清水由紀子
無駄骨でなかった遠い回り道森   昇
平和への矢印遠く見失う森 沙恵子
遠距離の恋を継いでいるLINE宮本 海風
指導者の遠吠えを聞く温暖化安西 建次
過ぎ去った苦悩忘れた百の坂藤 あかね

『裏』   福井 勲選
裏事情知って手綱がゆるみ出す星野きらら
裏方がやっと主役になる葬儀谷口 修平
時時はほんとが混じる裏話島村 呆眼
舞台より人間くさい舞台裏織田 順子
土壇場で知る人間の裏の裏上村  脩
本当はあの世の裏がこの世かも野口らいら
厳粛な父の遺品にあるポルノ藤森 吟二
人間の裏煮つめれば欲の汗小糸 はな

『ガラス』   白子しげる選
ガラス越し命の重さ受け止める山口 亮栄
息遣い我が子見守るガラス箱大矢 和子
僕のハート強化ガラスに替えました佐藤よしき
磨りガラス向こうで跳ねている本音興津 幸代
曇るのは眼鏡じゃくなくて私の眼佐藤よしき
人群れてガラスの街の無表情渡辺  梢
マイナカード私の全部ガラス張り渡辺  梢
思春期の曇り硝子を持て余す木俣 邦捷

『草』   江崎 紫峰選
放棄地に我が物顔の外来種中島 和子
雑草と呼ばれ火が付く曼殊沙華國嶋  武
晩翠が春の背を押す豪雪地駒木 香苑
兵の夢夏草に語らせる上村  脩
雑草で良しとした子に介護され竹田 光柳
ばあちゃんの薬草が産む村おこし大野 征子
ご無礼を草木に詫びる墓じまい大矢 和子
雑草に負けぬとバラの自尊心大野 征子

『充実』   中嶋  修選
高望み捨てて地元にタネを植え栃原 輝昭
酸いも甘いも嚙み分けて共白髪白子しげる
結局は妻の料理が口に合い新井千恵子
やり切った自己記録なら善しとする五十嵐淳隆
今日行くと今日用がある八十の日々藤森 玲二
平凡が充実になる暮らしの灯米島 暁子
日々学ぶ趣味に生かされ友も増え大矢 和子
満たされた日々に感謝の余命表大野 征子

協会秀句

令和6年の秀句


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