川柳文化祭1部(平成21年11月)
『アキレス腱』 成田 孤舟選 | ||
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ダムに泣きダムに怯える大自然 | 潮田 春雄 | |
ピノキオの鼻を狙った熊ん蜂 | 播本 充子 | |
バッカスが五臓六腑を離さない | 岡部 美雄 | |
難聴が徐々に狭めるテリトリー | 亀井 哲 | |
ジョーカーを握って犬がよく吠える | 篠崎 紀子 | |
絶頂期アキレス腱に蓋をする | 荻原美和子 | |
官僚のアキレス腱を票が切る | 小金沢綏子 | |
女帝論ガラスの箱に仕舞われる | 齊藤由紀子 |
『勇み足』 木崎 栄昇選 | ||
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太陽と思い込んでる独裁者 | 原 光生 | |
オフレコが屋台の酒にこぼれだす | 菊池 可津 | |
公約の呪縛が解けぬマニフエスト | 谷田部富義 | |
減らしたい減らない核へ平和賞 | 二宮 茂男 | |
言わなくてよかったはずの独り言 | 竹内田三子 | |
有頂天ホップステップ水たまり | 近江あきら | |
煽てられもう一枚の舌を出す | 小泉 正巳 | |
愛情を測って溝を深くする | 和泉あかり |
『渦』 小金沢綏子選 | ||
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天も地もむせるCO2の渦 | 五十嵐 修 | |
台風の眼に居る顎が指揮を取り | 五十嵐淳隆 | |
正解を捜すと渦が深くなる | 横田輪加造 | |
抜擢の椅子ジェラシーが塒巻き | 秋山 茂子 | |
昭和史を叩くと渦が降ってくる | 野中いち子 | |
ケータイの渦を呑み込む都市砂漠 | 原 光生 | |
欲望の渦が人間性奪う | 竹田 光柳 | |
賞讃の渦へ私を見失う | 上村 脩 |
『遊ぶ』 安藤 紀楽選 | ||
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捨てるにも選ぶ作業がつきまとい | 後藤 育弘 | |
おれ流を生きて小さなゴミ袋? | 渡辺 梢 | |
選曲に霧中歌など聞いてない | 小野句多留 | |
同居案蹴っておひとりさまの城 | 渡辺 梢 | |
クラス会羽振りの匂う服を選る | 石川とく江 | |
仏滅を敢えて選んだ愛もある | 生井 芳夫 | |
楽な道選び扁平足になり | 岡部 美雄 | |
農を継ぐ僕の選んだ嫁が来る | 米島 暁子 |
『惜しい』 西來 みわ選 | ||
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お下がりの服ほころびる七五三 | 安田 夏子 | |
あと一歩母を越せない煮転がし | 石川とく江 | |
髪洗うたびアイディアが消えてゆく | 西潟賢一郎 | |
沈むには惜しい夕陽といる二人 | 津田 暹 | |
才能はここまで遮断機が降りる | 木崎 栄昇 | |
権力を握り忘れたありがとう | 荻原 鹿声 | |
タッチの差だったと二位の肩を抱き | 刑部 鬼子 | |
素晴らしい凡人だった父の書庫 | 米島 暁子 |
『影』 野中いち子選 | ||
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影も又オーラを纏う絶頂期 | 石川とく江 | |
影武者の舌雑音も消化する | 成田 孤舟 | |
ひまわりの影雑兵の反戦歌 | 金子美知子 | |
影が歩いているチリメンジャコの都会 | 堀井 勉 | |
正道を歩いて影にブレがない | 志村 宇一 | |
無影灯命の影を追い求め? | 渋川 渓舟 | |
幻影に怯えるアフガンの子ども | 小西 章雄 | |
一寸の虫一寸の影を引く | 安藤 波瑠 |
『厳しい』 竹本瓢太郎選 | ||
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どん底の底をえぐってくる格差 | 加賀谷三帆 | |
人裁く日の法廷へ鬼となる | 西潟賢一郎 | |
厳格な家風で守る世襲制? | 渡辺 貞勇 | |
新人が育つと首が待っている | 近江あきら | |
プライドをハローワークが買い叩く | 横田輪加造 | |
二幕目の暮らしが強いる消去法 | 佐藤 頼昭 | |
札束へ男の美学守りきる | 南川 桂子 | |
進化するマウス戦が終わらない | 小金沢綏子 |
『靴』 岩田 明美選 | ||
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カルチャーへ飛んでる妻の赤い靴 | 守屋不二夫 | |
履き慣れた靴で余生を這い回る | 今井ゆずる | |
空を舞う白鳥になるトーシューズ | 森崎 清三 | |
小賢しい核が軍歌を履きたがり | 五十嵐淳隆 | |
下駄箱に羽の生えてる靴がない | 近江あきら | |
朝の靴修羅へ赴く心意気 | 岡部 美雄 | |
昇進の靴は笑顔で迎えたい | 北山 蕗子 | |
未来へのジャンプ遣る気の靴が跳ぶ | 廣島 英一 |