川柳文化祭誌上大会(平成29年)
『しぶとい』 山内 郁代選 | ||
---|---|---|
綱引きのあと5センチが動かない | 中尾 憲子 | |
崩れても崩れてもまだ児の積み木 | 井上京一郎 | |
しぶとくてちょっと時代に背を向ける | 香川 保子 | |
反戦歌いざしたたかにしなやかに | 横村 華乱 | |
葬儀屋を待たせ梅にも桜にも | 伊藤 我流 | |
一本の藁にすがって浮き沈み | 馬場 美昭 | |
タンポポの笑顔踏まれても摘まれても | 増田 幸一 | |
飴も鞭も北の狂気に通じない | 芦田 鈴美 |
『すっきり』 駒木 香苑選 | ||
---|---|---|
刷新の人事で晴らす黒い霧 | 竹田 光柳 | |
光もの外して老いを軽くする | 渡辺 梢 | |
定年日無事故の背広脱ぎ捨てる | 織田 順子 | |
柵を諭す法話に解かされる | 三田地輝億 | |
見える化へ襟を正した風通し | 大野 征子 | |
四面楚歌覚悟言いたい事を言う | 平蔵 柊 | |
喉越しのビール胃袋まで洗う | 磯 洋一郎 | |
完膚なきまで論客が論破する | 宮本彩太郎 |
『刹那』 福井 勲選 | ||
---|---|---|
似た人に動悸スクランブルの戯画 | 佐瀬 貴子 | |
幽玄の刹那を舞うて薪能 | 上野 悦子 | |
誤操作のワンクリックで金が消え | 白瀬 白洞 | |
邯鄲の夢と語らう墓参り | 岩田 康子 | |
喉越しの値千金岩清水 | 願法みつる | |
眼裏に閃光消えぬ原爆忌 | 西松 忠義 | |
花火師の絵心天の窓飾り | 南川 哲夫 | |
いなびかり一瞬遠い日の疼き | 竹中たかお |
『底力』 堀江 加代選 | ||
---|---|---|
平成に残る昭和の底力 | 大戸 和興 | |
人脈の真価が活きる崖っぷち | 駒木 香苑 | |
背水の陣逆風をはね返す | 上村 脩 | |
復興の土地に漲るエネルギー | 権守いくを | |
メイドインジャパン地球の裏も行く | 白子しげる | |
叩かれる度にいや増す底力 | 樫村 日華 | |
風評を蹴って今年も稲を刈る | 渡辺 梢 | |
朽ちそうで朽ちない老樹の根の力 | 佐瀬 貴子 |
『叩く』 佐藤 孔亮選 | ||
---|---|---|
夕立をドラマーにするトタン屋根 | 三上 武彦 | |
関西がオレンジ色を拒絶する | 離らっくす | |
居眠りの海馬へノック欠かさない | 渡辺 梢 | |
シンバルを一回鳴らし役を終え | 峰岸 照海 | |
叩いたら西瓜は赤い音がする | 三浦 武也 | |
雨が窓叩いて名前思い出す | 橋本 勝三 | |
叩くのは悪いと知っていて叩く | 竹口 清信 | |
叩く肩あって幸せだと思う | 伊藤 我流 |
『地下鉄』 織田 順子選 | ||
---|---|---|
オアシスをメトロが繋ぐ都市砂漠 | 宗吉みちお | |
ミサイルが来たら地下鉄とはジョーク | 樫村 日華 | |
世界中地下鉄網で結ぶ夢 | 竹田 光柳 | |
地下鉄で子供やっぱり窓を向き | 永井河太郎 | |
掘り下げてメトロが創るラビリンス | 守屋不二夫 | |
地下鉄に乗る百態の客の夢 | 武田 香風 | |
メトロ出て街には街の風の色 | 稲沢ひろせ | |
地下鉄と海底結ぶ未来絵図 | 市田 鶴邨 |
『束の間』 廣島 英一選 | ||
---|---|---|
虹はすぐ消える脇見は許されぬ | 五十嵐 修 | |
おかぼれの癖つけさせた競馬ラボ | 南澤たかお | |
束の間のドラマへドミノ積み続け | 小倉 利江 | |
ひとときの積み木くずしの愛でした | 栗林むつみ | |
一生の儚さ荼毘の火が揺れる | 齊藤由紀子 | |
一瞬の虚ろに呪縛かけられる | 大野 征子 | |
人生のピーク所詮は絵空事 | 中西 隆雄 | |
宙乗りの足が浮世をちと忘れ | 願法みつる |