川柳忌(令和4年9月)
『囲む』 平 川柳選 | ||
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閻魔が呼ぶおまえが来なきゃ囲めない | 金城風見子 | |
母いつも無償の愛で囲み込む | 渋川 渓舟 | |
陽だまりで猫の和毛に包囲される | 平 真澄 | |
囲まれているぞお別れかも知れぬ | 芦田 鈴美 | |
ラッピングされて過保護にされている | 新井千恵子 | |
微笑が囲む生まれたての寝息 | 森 沙恵子 | |
両の手で囲って覗く小さい秋 | 和泉あかり | |
好い人に囲まれ軋む肋骨 | 森 沙恵子 |
『落着』 渋川 渓舟選 | ||
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不消化な事件を国葬で締める | 中島 和子 | |
納得をしたのか指環すっと抜け | 安藤 紀楽 | |
吹っ切れてポンと弾ける蓮の花 | 加藤ゆみ子 | |
原因の諭吉諭吉でけりをつけ | 芦田 鈴美 | |
決定打文春砲に暴かれる | 江畑 哲男 | |
どん底で彼岸の鬼と手を結ぶ | 上田 健太 | |
抗争の果て絶縁という平和 | 栃原 輝雄 | |
春秋を重ね自伝へ句点打つ | 上村 脩 |
『祈る』 五十嵐 淳隆選 | ||
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世界中どこかで唱和ジョンレノン | やまぐち珠美 | |
寝ずに祈る父の枕辺千羽鶴 | 髙橋 和男 | |
気ヲツケテ母は祈りを繰り返す | 佐藤よしき | |
平和記念裏で支える武器と食 | 栃原 輝昭 | |
御巣鷹の杖を励ます蝉時雨 | 大竹 洋 | |
十字切り青と黄色の鶴を折る | 加藤ゆみ子 | |
絵馬札に願う宮司の子も受験 | 中島 和子 | |
ひたすらに祈る無欲の顔になる | 上村 脩 |
『繊細』 大竹 洋選 | ||
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敏感なタッチパネルにミスされる | 黒崎 和夫 | |
君の指触れば積み木崩れ出す | 藤森 吟二 | |
リタイアをして胃薬と縁が切れ | 江畑 哲男 | |
応答の口調に透ける心読む | 黒崎 和夫 | |
芸術とエロで紛糾する美学 | 竹田 光柳 | |
鍵の有る日記自分を閉じ込める | 中島 和子 | |
打つ位置に拘っている句読点 | 渋川 渓舟 | |
青春のドアが溜めてる静電気 | 芦田 鈴美 |
『理由』 佐道 正選 | ||
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酒と来る言い訳だから聞いてやり | 上田 健太 | |
欠席へ忙しいとは書けぬ老い | 安藤 紀楽 | |
理由など思いつかない好きな人 | 渡辺 柳山 | |
プーチンの戦へプーチンの理由 | 芦田 鈴美 | |
マスクする訳弄ぶ専門家 | 上村 脩 | |
いつもより早い帰宅にわけが要り | 安藤 紀楽 | |
私じゃないから貴方という論理 | 藤森 吟二 | |
訳などはいいと母さん貸してくれ | 渋川 渓舟 |