川柳人協会

可有忌(令和5年5月)
『通う』   上村 脩選
にんげんになるまで通う始発駅山口 亮栄
通院の杖とストレス溜めている和泉あかり
序破急のテンポで通う恋の道米原 追夢
学びやにわたしの好きな椅子がある米島 暁子
機微に触れ心が通う血が通う宮本彩太郎
AIのコピペが通う永田町山口 早苗
会社人間定年までを尽くしきる中島 和子
産声に心通わせ父となる森 沙恵子

『床』   芦田 鈴美選
混沌を生きる糠床混ぜている平蔵  柊
汚染土が万年床となる怖さ五十嵐淳隆
窓際の床がしなっている役所五十嵐淳隆
国会の床政局へ軋ませる上村  脩
座る人座って床の間を締める渋川 渓舟
床柱喜怒哀楽に磨かれる森 沙恵子
世襲慣れ日本の床が抜け落ちる片野 晃一
議事堂に同床異夢が屯する西松 忠義

『売る』   深堀 秀子選
効能がないから売れる育毛剤石原  昭
媚びを売るピエロ哀しいほど笑顔勢藤  潤
売る方も必死なんです物価高金子 育司
魂を悪魔に売った核ボタン上野さざ音
好評につき閉店セール延長へ髙橋  充
生涯を会社に売って粗大ごみ南川 哲夫
墓場から揺り籠までを売るネット上田 健太
愛娘披露独裁者の野望中島 和子

『盛る』   小池 主計選
捻挫だが骨折と書く診断書大矢 和子
引き抜きの人事好条件を盛る中島 和子
党の夢山盛り詰めてマニフエスト江崎 紫峰
船盛がまだ泳いでる漁師宿上田 健太
卒業の文集夢ではち切れる渋川 渓舟
春の色賑やかに盛る絵具皿上田 健太
お手盛りの土産を持って天下り古川 大晴
生き恥も盛って来ました皿の数和泉あかり

『綿密』   栃原 輝昭選
手抜かりがないか鏡と睨めっこ新井千恵子
綿密な指示へ現場が臍を曲げ芦田 鈴美
用意周到エリートの天下り和泉あかり
カモが来た一度は甘い蜜をやる相原あやめ
一分の遅れ車掌がお詫びする佐道  正
入念にシナリオ描く初デート髙橋 和男
要人の警護のスキを突くまさか小池 主計
若冲の絵には手抜きの跡がない五十嵐淳隆

協会秀句

令和6年の秀句


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