川柳文化祭誌上大会(令和元年)
『 励む 』 織田 順子 選 | ||
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倍の汗かいて届ける無農薬 | 府金 節子 | |
生涯を努力と信じ石を積み | 竹田 光柳 | |
独り立ち貫きとおす独楽の汗 | 柴垣 一 | |
銀メダル汗で磨いて金にする | 河合 成近 | |
生きのびるコツ引き継いで進化論 | 相原あやめ | |
辞書積んで積んで己とする戦 | 渋川 渓舟 | |
帰る家あるから今日も頑張れる | 藤井 杏樹 | |
国宝と呼ばれ手抜きのない錬磨 | 秋山 了三 |
『 引く 』 山口まもる 選 | ||
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綱引きのパパが一番かっこいい | 古賀 順子 | |
引き算の余生プラスにする笑顔 | (客)しおざわきよ | |
団塊で昭和の荷物引いた自負 | 權守いくを | |
引き出しの滑べりが悪い老いの脳 | 中島 通夫 | |
わたしからあなたを引くと風になる | 安藤 敏彦 | |
引込線これから長い長い旅 | 樫村 日華 | |
引き絞る火の矢チャンスを待っている | 平井 翔子 | |
発想の転換引いてみませんか | 真島美智子 |
『 踏む 』 荻原美和子 選 | ||
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脱メタボ体重計という踏み絵 | 大竹 洋 | |
信心が寺の石段へこませる | 滝沢 祥子 | |
憎しみの連鎖が過去の轍を踏む | 白子しげる | |
難問に遭うと足踏みばかりする | 木崎 栄昇 | |
ふるさとの虹へ思わずタタラ踏む | 横村 華乱 | |
決断の鈍さブレーキばかり踏む | 府金 節子 | |
未来へと一歩踏み出す子の勇気 | 江崎 紫峰 | |
賛成の踏み絵に飴が盛ってある | 相田 柳峰 |
『 平穏 』 安藤 紀楽 選 | ||
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何事もなく夜が明けたネオン街 | 上村 健司 | |
シュガーポット満たして主婦のティータイム | 渡邊 梢 | |
本番に臨むいつもの朝ごはん | 佐藤 孔亮 | |
中流の暮しデモには遠く居る | 小倉 利江 | |
平穏へパジャマのゴムが欠伸する | 小林ふく子 | |
平穏を平和と思いこむ怖さ | 竹山惠一郎 | |
家族みな定位置につく休み明け | 岩田 康子 | |
生きてるかそんな電話の友が居る | 小暮 風六 |
『 掘る 』 島田 駱舟 選 | ||
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政治家の祝辞墓穴を掘りたがり | 五十嵐淳隆 | |
これ以上掘ったら愛が消えそうな | 瀬戸れい子 | |
退屈な顔して埴輪目を覚ます | 廣島 英一 | |
掘れば掘るほど日本史のイリュージョン | 竹中たかを | |
念のため我が家の庭も掘ってみる | 沢田 正司 | |
穴二つ掘る覚悟なら出来ている | 相原あやめ | |
井戸を掘るらしい信じているらしい | 真島久美子 | |
こんなはず無いと自分を掘り返す | かしわぐま光代 |
『 窓 』 上田 健太 選 | ||
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それぞれの窓それぞれの音で聞く | 萩原まさ子 | |
小窓には夢のかけらが二つ三つ | 森永可恵子 | |
冒険へ飛び立つ窓は開けておく | 秋山 了三 | |
燦々と天窓に射す無垢の愛 | 上原 稔 | |
信じ合う二人の窓に鍵はない | 川上 澄子 | |
小さくとも明日が見える窓にする | 佐野由利子 | |
しあわせを買える窓口どこですか | 石川 柳寿 | |
千の窓千の暮らしが息をする | 加藤友三郎 |
『 磨く 』 阿部 勲 選 | ||
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大部屋の芸が主役の背で光り | 荒井 広和 | |
墨よりも黒く仙女の黒揚羽 | 星出 冬馬 | |
謙虚さを磨いて影が薄くなる | 澤崎ひらめ | |
磨いてごらん僕の野獣が眼を覚ます | 芝岡勘右衛門 | |
ニンゲンを食べたらすぐに歯を磨く | 竹中たかを | |
栄光は一瞬これからを磨く | 真島久美子 | |
乾拭きは終り明日は幕があく | 廣島 英一 | |
磨きすぎ美女がのっぺら坊になる | 佐藤 孔亮 |