川柳人協会

川柳文化祭1部(令和元年11月)
『流 布』     渡辺  梢 選
アンテナに自分の噂引っかかる 横田 朝子
流言蜚語にクーリングオフがない 平蔵  柊
科学では風評被害防げない 岡  遊希
市民権得たぞおばさんまで使う 齊藤由紀子
一滴がネットに落ちて大津波 織田 順子
犯人はSNSに仕立てられ 佐藤 孔亮
三世代みんなヤバイを使ってる 橋本 湧水
嘘は武器世界平和を掻き乱す 國嶋  武

『礼』     田中八洲志 選
深々と頭をさげる発車ベル 潮田 春雄
注文の電話にお辞儀繰り返し 田中 和男
水害に礼・敷金が慌て出す 大竹  洋
礼節が消えて乾いた街になる 白子しげる
にじり口からお作法の別世界 花道 歌子
虚礼など無い下町の温い風 白子しげる
国賓も暫し見惚れる即位礼 小池 主計
朝礼を済ませノルマの海に出る 上村  脩

『ロマン』     安藤 波瑠 選
星だった昔を語る石っころ 洲戸行々子
プラごみが海のロマンを消しに来る 白子しげる
晩成の子をいつまでも里で待ち 織田 順子
ジョバンニと旅をしたくて宇宙葬 加藤ゆみ子
しょうもないロマン拾って来る男 山口 早苗
日の丸を背負うロマンが果てしない 佐藤 孔亮
貧しさもロマン私の神田川 齊藤由紀子
先人のロマンが実る宇宙基地 宮内みの里

『足 跡』     中島 和子 選
都合よく書き替えられる偉人伝 林  俊雄
扁平足猿の名残が僕にある 岩田  忠
鳴き砂にかすれた足跡がつづく 上原  稔
創業の苦節が社史を深くする 府金 節子
ノーベルの足跡辿る賞数多 北川キミ代
山や河ひだに畳んだ笑い皺 児玉 寿子
足跡にお化粧をする立志伝 大竹  洋
平凡を飾らぬ蟻の回顧録 國嶋  武

『糸』     廣島 英一 選
通りゃんせ少し緩めの躾糸 駒木 香苑
緞帳の仕上げ私いろに織る 金子美知子
カリスマの糸につられる雑魚の唄 大野 征子
赤い糸ちぎれて修羅の海となる 白子しげる
染め上げてオンリーワンの糸にする 佐瀬 貴子
末席で異論唱えるほつれ糸 三浦 武也
愛と修羅耐えてもつれた糸を解く 上村  脩
黒幕がマリオネットの糸をひく 増田 幸一

『忘れる』     植木 利衛 選
廃校の隅に二宮金次郎 矢野 義雄
義務忘れ督促状に叱られる 荻原美和子
忘れ物戻る日本が誇らしい 大矢 和子
誰だっけ想い出せない爪楊枝 樫村 日華
孫の名も忘れて母は子に還る 中西 隆雄
飽食にもったいないが忘れられ 大戸 和興
ゴタゴタは忘れましたと金婚譜 織田 順子
何もかも忘れ仏の顔になる 國嶋  武

『 運 』     西潟賢一郎 選
運命の出会い大事にして眠る 潮田 春雄
身の丈に合わせた運で我慢する 南川 哲夫
射程距離いつも誰かに助けられ 新井千恵子
靴底を減らす男に運は寄る 加藤ゆみ子
色即是空運命を自覚する 上村  脩
人生に運否天賦という定め 中西 隆雄
強運は竹輪の穴で虹が見え 大野 征子
恋は盲目運命を変えさせる 新井千恵子

『絵』     竹田 光柳 選
ストレスも活力となるゴッホの絵 山本 邦子
ピカソから見れば人間歪む顏 林  俊雄
墨田区の誇り北斎今も活き 大貫 友康
角があるママが笑ったクレヨン画 木口 孝子
一枚の戯画に豊かになる老後 荻原美和子
首里城が消えた十月最後の絵 石川 雅子
騙し絵の中で原発息潜め 織田 順子
 親の画く絵から出て行く子の育ち 府金 節子

協会秀句

令和6年の秀句


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